青年局ニュース
有志研修会を被災地訪問事業「第49回拡大TEAM-11」として岩手県・宮城県・福島県で実施
2024.07.31
青年局では毎夏開催の有志研修会を第49回拡大TEAM-11として実施。
全国から約70名の仲間が集い、東日本大震災から13年余りが経過した岩手県・宮城県・福島県を訪問しました。
研修は岩手県からスタート。
震災時に17mを超える津波により6階建ての4階まで浸水、2階までは柱を残して流失しながらも、倒壊を免れた「たろう観光ホテル」を視察しました。今では、津波遺構として多くの方が訪れています。
6階の部屋で震災当日に同じ場所から撮影された、津波の映像を見ることが出来ます。
ガイドの方からは「災害は忘れた頃に来るのでは無く、人々が忘れたから災害になる」との言葉がありました。災害の記憶を伝承し、教訓として活かしていくことの大切さを改めて感じました。
その後は復興の歴史と教訓を発信する「東日本大震災津波伝承館」(陸前高田市)を訪れました。
過去から学び、教訓に変え、そして自ら行動することにより命を守り、いつか起こる自然災害を乗り越えていく、被災地の強い覚悟に私たちも応えていかなくてはなりません。
研修2日目は宮城県を訪問し、震災遺構の石巻市立大川小学校にて献花。
津波により児童108名中74名、教員10名が亡くなりました。海から3.7km内陸に位置しており、津波は到達しないと思われていました。しかし、津波は川を遡上し避難場所にいた児童らが犠牲となりました。
慰霊・追悼の場であると同時に防災と避難の重要性を伝えるために事故の経緯、裁判の記録なども公開されています。
その後、南三陸町の震災遺構や復興施設を視察しました。その中でも「南三陸病院」は再建費用の4分の1が台湾からの義援金であり、敷地内には感謝を示した記念碑も建てられています。日台交流を担う青年局としても改めて台湾の皆さんに感謝申し上げます。
多賀城市では、多賀城高校・災害科学科の約40名の生徒の皆さんと防災減災に関するグループワークを行いました。
教訓を次代に伝え、防災を担う人材を育てることを目的として、1例目の兵庫県立舞子高校に次ぎ設置された防災専門学科です。
深谷晃祐多賀城市長(元宮城県連青年局長)、熊谷大利府町長(元青年局長代理)もご参加下さいました。
グループワークでは、各グループから日頃の学習をもとに考えた防災減災に関する政策を発表してもらいました。
「避難時の持ち出し袋を普及させるための施策」や、「高齢者の早期避難を促すための施策」など経験や日頃の学びをもとに学生らしい柔軟な意見が飛び交いました。
生徒の皆さんから寄せてもらった提言は、各級議会ごとに整理しつつ関係議会や省庁に届けてまいります。
地域の担い手たる若い世代と共に、これからも安心、安全な社会づくりに向け協働していきたいと思います。
最終日は福島県の双葉町、大熊町を訪問し、福島第一原発を視察しました。
担当者の方から事故当時の様子と現在の状況について伺い、使用済み燃料の取り出しや汚染水の発生量を低減させるための施策、ALPS処理水の海洋放出などについて説明を受けました。
また、廃炉作業の本丸とされる燃料デブリの取り出しにむけた取り組みも進められており、今年の8月から10月ごろには試験的な取り出しに着手する見込みとのことです。
福島の復興には約30年〜40年を要する廃炉作業の完遂が不可欠です。
我々青年世代が廃炉に責任を持ち、行方を見定めることの重要性を改めて心に刻みました。
その後、福島第一原発を取り囲む形で整備されている中間貯蔵施設を視察しました。ここは福島県内の除染に伴い発生した除去土壌や廃棄物が分別や減容化などの処理を経て、貯蔵されています。また、中間貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分することになっています。
3日間の研修で被災3県を訪問し、当時の記憶や防災減災の取り組みを学び、改めて鎮魂の思いと教訓を継承しました。
鈴木貴子青年局長は参加者に対し、「東日本大震災は私たちにとって忘れることができない出来事だが、今回の研修を通して改めて当時のことを思い返し、身につまされる思いだった。この経験を地元に戻った後、議会や日頃の防災減災活動に活かしてほしい。」と呼びかけ、青年局として引き続き復興に向けた課題に取り組む決意を新たにしました。